
疾患の根本的な原因の中には、長年にわたり従来の創薬技術では手の届かなかったものがあります。私たちは、その常識を変えようとしています。
タンパク質は、人体のあらゆる細胞の機能、増殖、生存を制御しています。タンパク質が機能異常を起こしたり変異したりすると、重篤な疾患を引き起こすことがあり、医薬品開発における重要な標的となります。
これまで数十年にわたり、多くの医薬品は標的タンパク質の決まった部位に結合し、その働きを抑制することで治療効果を発揮してきました。しかし、疾患の主要な要因となるタンパク質の多くは、そのような結合部位を持たないため、従来の創薬技術では標的化することが困難です。まるで「鍵穴のない錠前」のような存在です。さらに、結合できた場合でも、標的タンパク質が変化することで治療への耐性を獲得してしまうことがあります。
アステラスでは、こうした課題を克服するため、革新的な誘導近接(Induced Proximity)アプローチの開拓に取り組んでいます。
アステラスは、Induced Proximityを進展させることで、これまで「創薬が困難(undruggable)」と考えられてきた標的にアプローチし、医薬品の可能性を広げ、切実なニーズを抱える患者さんに新たな治療の選択肢を届けることを目指しています。
Induced Proximityは、本来であれば相互作用しない細胞内の2つの分子―疾患の原因となる標的分子と、それに作用できる細胞内メカニズム―を意図的に近づける技術です。こうした新たな分子間相互作用を創り出すことで、有害なタンパク質の除去、疾患プロセスの制御、さらには従来の治療法ではアプローチできなかった疾患の弱点に作用することも可能になります。
私たちは、適切な生物学的メカニズムを適切な疾患標的に結びつける、差別化されたInduced Proximityプラットフォームの構築を戦略的に推進しています。これにより、治療が難しいがんに対して、多様なアプローチで新たな治療機会を創出していきます
アステラスは、Induced Proximityの研究開発において以下の強みを有しています。
アステラスは、より広範なInduced Proximityプラットフォームの中でも、最も臨床開発が進んでいるアプローチの一つである標的タンパク質分解誘導(Targeted Protein Degradation:TPD)を先駆的に推進しています。私たちは、これまで培ってきたがん領域での専門性を基盤に、消化器がん、泌尿器がん、肺がんをはじめとする治療が難しいがんへの取り組みを優先しています。
当社の主要なInduced Proximityプログラムであるsetidegrasibは、KRAS G12D変異を標的とするタンパク質分解薬として初めて臨床開発に進みました。KRAS G12Dは、がんの発症に関与するKRAS変異の中でも最も頻度の高いものの一つであり、現在のところ承認された変異特異的標的治療薬は存在していません。現在、setidegrasibでは非小細胞肺がん(NSCLC)および転移性膵管腺がん(mPDAC)を対象とした第III相試験が進行中です。
アステラスは、Induced Proximityの生物学に関する深い知見を活用し、PROTAC(Proteolysis Targeting Chimera)、Molecular Glue(分子接着剤)、RIPTAC(Regulated Induced Proximity Targeting Chimera)をはじめとする次世代のInduced Proximityのアプローチへ拡張しています。これらの革新的な技術は、治療が極めて難しいがんに対する患者さんの治療のあり方を大きく変える可能性を持っています。
アステラスのInduced Proximityのパイプラインについては、以下をご覧ください。また、アステラス全体の開発パイプラインについてはこちらからアクセスできます。
この急速に進化する領域でリーダーシップを発揮し続けるためには、深い科学的専門性、差別化された技術・能力、そして戦略的なコラボレーションが不可欠です。
そのため、当社は、自社の強みを発展させ、対応できる疾患やバイオロジーの幅を広げるとともに、科学の進歩を加速するための戦略的パートナーシップを積極的に推進しています。
アステラスとのコラボレーションの詳細については、パートナリングページをご覧ください。
アステラスは、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えるという使命を果たすため、最先端の科学と世界のトップを走る人たちを組み合わせられるよう努めています。当社の採用情報ページにアクセスして、科学の進歩を患者さんの「価値」に変えるための、私たちの取り組みに参加する方法についてご覧ください。