倫理・コンプライアンス重点分野

アステラスの基本的な使命は、患者さんに安全かつ有効な医薬品を提供し、健康と福祉に貢献することです。そのためには、医療関係者、医療機関・医療関係団体および患者団体と連携し、アステラスの製品や承認された効能・効果に関する正確な情報を提供するとともに、必要に応じて製品の適正な使用に対する理解を促すことが重要となります。製薬会社と医療関係者の医学的・科学的な交流は、先端と信頼の医薬の提供にあたって不可欠であり、世界中の患者さんの健康に寄与するものと考えています。

 

アステラスは、経済的な面においても、医療関係者や医療機関・医療関係団体と適切に関わっていきます。医療関係者やその他の専門家とコンサルタント契約を締結し、報酬を支払う場合は、固有のアドバイス、専門的知見、またはサービスに対する正当なビジネスニーズが存在し、それが証跡に残されている必要があります。また、このような契約は、適正な選定基準と公正な市場価値に基づいたものでなければならず、アステラス製品の使用または推奨の見返りや誘因となってはなりません。またアステラスは、グローバルに亘って透明性ルールを遵守し、各国の法律や業界規制に従って支払等の情報を開示しています。利害関係者や当局に対して情報開示を行うだけでなく、一般にも公開することで、企業としての説明責任を果たしています。

 

ヘルスケアコンプライアンスは、アステラスのエシックス&コンプライアンス部門の重点分野の一つであり、アステラスと医療関係者、医療機関・医療関係団体および患者団体との関わりが適法かつ倫理的で、最終的に患者さんの利益に資するものになるために欠かせないものです。高い倫理観へのコミットメントは、アステラスのグローバル企業活動の根幹となるものです。あらゆる適用法令、ガイドラインおよび社内規程を文面のみならずその本質を含めて遵守することが、このコミットメントにおいて不可欠です。すべてのアステラス社員は、高い倫理観に基づいて行動し、法令、業界ルール及び社内規程を遵守することが求められます。このことは、医療に関する意思決定の独立性を守り、不適切な影響および不正の外観を排除し、当社の信用、ブランドおよびインテグリティを高めることにつながります。

効果的なコンプライアンスプログラムのもう1つの重要要素として、自社内の利益相反の問題にどう対処しているかという観点があります。このコンプライアンスプログラムの基盤は、会社が社員の行動をどのように管理するかにかかっています。


利益相反とは、社員の社外活動やその他の個人的利害が、当該社員が業務を遂行する上での客観性や判断を歪める恐れのある状況をいいます。また、社員とアステラスの利害が潜在的に対立している状況も含みます。「アステラスグループ利益相反規程」およびそれに関連する研修では、誰も見ていない場合や法律違反に当たらない場合でも、社員は倫理的で誠実に業務を行うことが求められることを強調しています。この基本姿勢を維持すれば、社外のステークホルダーとの関わりや法的リスクを伴う状況においても社員は倫理観を持って誠実に行動できると私たちは考えています。利益相反状況を開示するプロセスやグローバルに渡る教育研修を通じて、社員が潜在的な利益相反に気付く力を継続的に高め、コンプライアンスに対する社員のオーナーシップを向上させています。

アステラスは公正な競争を伴った企業活動を行います。価格などの販売条件、営業計画および戦略、市場や顧客の分割について競合会社と交渉したり協定を結ぶことはありません。競合会社との関わりは限定的なものとし、必要時においても上記の話題は避け、協定の存在を疑われることがないようにしています。

アステラスでは、取引をグローバルに行うことが求められます。私たちが世界各地で医薬品を販売し、製品開発、臨床試験、その他の活動を行う際、製品等の輸出入が必要になることがあります。アステラスはグローバルに事業を展開しているため、適用されるすべての貿易管理・通関に関する規制を遵守することが極めて重要になります。そのため、アステラスのInternational Trade Compliance (ITC)チームは、輸出管理および制裁措置対応、ビジネスパートナーの審査、通関コンプライアンスに関する管理体制を構築し、アステラスの製品が滞りなく国際輸送され、患者さんに価値を提供できるよう支援しています。

 

アステラスは、関連するすべての輸出入やその他の貿易管理に関する法令を遵守します。ITCチームは、製品等の輸出入や国内輸送に先立ち、必要なライセンスや許可、通関に必要な情報がすべて整っていることを確認すると同時に、ビジネスパートナーに助言、指導、トレーニングを行い、意識の向上と貿易コンプライアンスの確保に努めています。